ジオン軍の失敗

本書は、技術開発および製品開発の失敗を、ガンダムジオン軍モビルスーツ開発の失敗から原因を追求し、技術開発のあり方を提示するという内容である。
なぜ、スペック値はガンダムより優秀なゲルググを開発しながら勝てなかったのか、モビルアーマーを開発する必要はあったのか、などの観点から技術開発失敗の本質に迫っている。
ガンダムを題材としているためか、非常に読みやすく感じた。
内容的には、ファーストガンダムを知らないとキツいが、これを機にファーストガンダムを観る(観直す)のもいいかもしれない。


(目次)

  • 第1章 MS‐06Fザク2―技術においては、「寿命の長さ」は必ずしもいいことではない
  • 第2章 MS‐06R高機動型ザクシリーズ―技術規格を増やすのは善か悪か
  • 第3章 MS‐07グフ―進化しすぎた技術は、環境変化で絶滅する
  • 第4章 MS‐09Rリック・ドム―あるセグメントで成功した技術が、別のセグメントでも成功するとは限らない
  • 第5章 MS‐14ゲルググ―投入するタイミングを失した技術は、どんなに優秀でも成功しない
  • 第6章 MSM‐03ゴッグ―突出したスペックを持つ製品は、きわめて運用しにくいものになる
  • 第7章 MSM‐04アッガイ―「使う人がいない」製品は、なぜできあがるのか
  • 第8章 MSM‐07ズゴック―仕様はどこかで決断しなくてはいけない
  • 第9章 MAM‐07グラブロ―モビルアーマーの存在意義を問う開発事例
  • 第10章 MA‐08ビグ・ザムビグ・ザムが量産の暁には、ほんとうにジオンは勝てたのか
  • 第11章 MSN‐02ジオング―フラッグシップモデルは造るべきか?


(読書メモ)

  • 「汎用化」を追求するあまり、低次元でバランスしたものは開発しない
  • 未熟さとは、進化する余地の別名
  • 用途は正しく把握する
  • 制約のない自由な環境で開発されたものが、優秀とは限らない
  • どこかで見切りを付ける
  • 開発のプロセスに政治を持ち込まない
  • アッガイ萌え