私塾のすすめ -ここから創造が生まれる
- 作者: 齋藤孝梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 新書
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ネットへの接し方が違う二人(斉藤はblogを書かない等)の対談は非常に興味深い。
しかしながら、根底に流れる私塾精神とでもいうべき考え方は、二人とも同じものを持っていると感じました。
本書を通じて、id:umedamochioがウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)・ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!を通して書いてきた、ロールモデル・志向性の共同体・好きなことを貫く・サバイバルするということの本当の意味が分かったような気がしました。
学び続けることは、未来を切り開く。そんなメッセージを強く感じました。
以下、印象に残った言葉。
偉人でも自分にぐっと引き寄せて、その人が現代を生きていれば、自分と同じようなことをしているのではないかとか、誤解であれ、錯覚であれ、エネルギーが湧くもとになるのならいいんだ。
(中略)ロールモデルを自分のために消費していいんだと。
ロールモデルとは人生の目標ではなく、その時々で志向性が同じ人を選び、消費すること。
あこがれのベクトルで選ぶことが大切。
人間が人間を理解するとか、ある人が何かをしたいと思ったときに、相手がきちんと受け止めてくれるということのほうが、
めったにおこることでない。そういう事実を、ベースにおかなきゃいけないと僕は思います。
負けることを恐れない。
量をこなし、質的変化を起こす。
「好きなことを貫くと幸せになれる」というような牧歌的な話じゃなくて、そういう競争環境のなかで、自分の志向性というものに
意識的にならないと、サバイバルできないのではないかという危機感があって、それを伝えたいと思うからです。
オープンな情報共有->志向性の共同体生成->新たな知的創造のサイクルをまわす。
ただ単に好きなことを貫くだけではなく、いかに自分の志向性の共同体を生成するか常に意識することが大切。
最後に本書で一番心に残った言葉。
著者両名の言葉ではなく、id:umedamochioが紹介した森有正の言葉です。
人間が軽薄である限り、何をしても、何を書いても、どんな立派に見える仕事を完成しても、どんなに立派に見える人間になっても、それは虚偽にすぎないのだ。
その人は水の枯れた泉のようなもので、そこからは光の波も射し出さず、他の光の波と交錯して、美しい輝きを発することもないのだ。
自分の中の軽薄さを殺しつくすこと、そんなことができるものかどうか知らない。
その反証ばかりを僕は毎日見ているのだから。
それでも進んでゆかなければならない。